2007/02/01

人間ドック

ここ数年、毎年人間ドックに行っている。健康診断は会社から受診するよう命令されているようなものなので、普通の健康診断にいけばいいのだが、会社のリクレーションの一環として、実は人間ドックにいく権利も有している。通常の人間ドックだと、4万円~5万円もかかるのだが、それを会社負担で無料で受けられるということだと、これを使わない手は無い。日帰りコースと1泊2日コースのどちらも選べるのだが、色々検査をしてもらえるということと、泊まりで検査を受けられるなんていうのは少し楽しいと思ったので、毎回1泊2日コースを選ぶことにしている。泊まるところは、病院内に宿泊施設があればそれを利用するし、無い場合には、提携ホテルに泊まることになる。それと、こういう人間ドックの場合は、毎回同じ場所の病院にいくほうが良いといわれる。それは過去のデータが残っているため、それと比較して、現在の体の状態を診断してくれるからだ。ここ数年は同じ病院にいくことにしているが、最初は、いろいろ選択できる病院のよさを知りたいと思ったので、あちこちの病院に行ってしまった。それは間違いだと後日知る。

特にここ数年は病気らしい病気もしていないので、人間ドックに行っても「異常なし」ではあったが、今回人間ドックに行って、はじめて「高コレステロール」の数値でひっかかった。見た目ではデブではないのだが、内臓脂肪はレントゲンを見ると、お世辞でも「無い」とはいえない。これはショックだった。めたぼりっく症候群なんていうのは、他人事とおもっていたのが、まさか自分に関わってくるとは思っていなかったので、かなりのショック。翌日からお菓子は食べないようにしているし、食事の管理は徹底するようにしていた。また、運動不足によるエネルギーの消化不良が原因だといわれていたので、できるだけ運動をするように務めている。筋力トレーニングによって基礎代謝をあげるようにしているし、持久力を上げるための運動はまだ始めていないが、学生のときのようにまた泳ぎ始めようかと思っているところだ。ジムにいって、ワンツーワンツーと、ボクササイズやマシンを使って鍛えたいとは思わない。できるだけ水泳でパワーアップしたいと思っている。

一般的に、どのくらいの人が人間ドックに行っているのか、実はよくわからなかった。最近矢野経済研究所から健診・人間ドック市場に関する調査結果が発表されたが、その内容によると、2008 年から40 歳以上の特定健診・特定保健指導の義務化が開始されるが、現在は、法律によって実施義務、努力義務と分かれているために、国民健康保険被保険者や各健康保険の扶養者を中心に健康診断の受診率は非常に低く、平成16 年度・国民生活基礎調査(厚生労働省)で、35 歳~44歳で37.3%、45~54 歳で33.3%、55~64 歳で35.9%が健康診断、人間ドック等の健診を受診していないことが明らかになっている。厚生労働省が公表している2008 年における特定健診の対象者は56,188 千人で、その内、現在健康診断を受診していない者は弊社推計で約15,733 千人。その未受診
者が2008 年からの義務化により受診者層に移行すると考えると、2008 年における健診市場の拡大も明白で、その規模も約1,000 億円超と推定できる。更に、人間ドック、がん健診などの任意健診を加味すると、2008 年度の健診・人間ドック市場規模は約8,685 億円となる。これはかなり大きい市場だ。

人間ドックにいくと、いまの体の状態を知ることができるので、本当に良いと思う。だけど、胃カメラの検査だけはやっぱり嫌だ・・・。最近は、レントゲン方式で胃カメラと同じ検査ができるらしいので、これからはそれを選択したい。

OSを変える必要あり!?

Windows Vistaが発売されたが、その発売日は「あっ、そう?」と思われるくらい全然盛り上がらなかった。盛り上がらないのも当然で、量販店では、Windows Vistaのよさというのがなんなのか、だれも説明ができなかったから、宣伝しようにも宣伝できなかったというのが実情だ。それに、一般雑誌にも WIndows Vista という言葉が出てきても、それでいったい、Windows XPと違うのはなんなのか?という素朴な疑問に対して、明確な故他を明示してくれるものが全く無かったというのも理由の一つだ。さらに言えば、新しいアプリケーションになればなるほど、重くなるというこの現象に、そろそろ一般PCユーザは嫌気をさしてきたのではないだろうか?確かに新しい機能があるといいことはあるが、そこまで重くしなくてもいいじゃんと言いたい場合が多い。OS販売会社としては、いつまでも古いOSを使ってもらっていると、銭が入ってこないので、新しいOSを売りたいのは分かるのだが、いまで十分な機能を持っているというので満足しているユーザが多い場合は、新しいソフトを出しても誰でも見向きもしないものだと思う。

今回、IT業界をレポートする最高峰のガードナーグループが出した調査結果は、その点Windows Vistaが売れるか売れないか、今後の動きを知る上では有力な情報だと思った。OSがスタックして止まるという現象は、Windows 2000が発売されて以来、その発生は亡くなった感がある。セキュリティを重視するようになったというのは企業にとっては当然のことだろう。PマークやらJIS27001などの規格にそってビジネスを行っていることを証明したい企業は多いからだ。ということは、企業側からするとその従業員が利用しているPCをすべて管理したいし、外部に対して集中管理を行い守っていきたいという思いがあるという証明である。しかし、個人ユーザにとっては、外部からの攻撃防御は必要だが、どこかにコントロールされるのは嫌だというのが本質だろう。Windows Vistaは企業ユースにとってはいい結果がでてくるかもしれないが、個人ユースにとっては Windows XP Home Edition のままでいいんじゃないの?とおもう。

下記はガードナーグループの発表
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ガートナー ジャパン、企業PCのOSを更新する目的に関して調査結果を発表

 ガートナー ジャパン株式会社(所在地:東京都目黒区、代表取締役社長:日高 信彦)のリサーチ部門は、企業のビジネス・ワーカーがパーソナル・コンピュータ(PC)のオペレーティング・システム(基本ソフト、以下OS)を更新する目的についての調査結果を発表いたしました。
 これによりますと、ビジネス・ワーカーが業務で利用するPCのOSを更新する最大の目的は、セキュリティをより高いものにして”安全稼働”を確保するためということが分かりました。


■OSに対しても”セキュリティ”

 これまでPCのOSが果たす役割は、効率的なファイル管理、グラフィカルな操作性、マルチメディアの取り込み、Web技術との融合など、それぞれの時代のテクノロジとユーザー・ニーズに応じてそのテーマを変えてきましたが、今日の企業のPC利用者はOSに対してセキュリティを第1に選んでいます。

 ガートナーはこのほど「OSを更新する目的/意義」についてビジネス・ワーカーを中心とするPC利用者に調査を実施しました。その結果、最も多かった回答が「セキュリティを高めるため」でした(図参照)。Winnyなどによる相次ぐ情報漏洩事件や、個人情報保護法施行以降の情報漏洩対策への意識の高まりなどから、情報セキュリティに極めて高い関心が向けられています。また、企業情報システムにあって、”PCが最大のセキュリティ・ホール”と言われて久しいこともあり、PCの基本的な性能を左右するOSに対してもセキュリティが最も重要視されていると考えられます。ほぼ同時期に企業の情報システム担当者に対しても同様の調査を実施しましたが、こちらでも「セキュリティの向上」が第1番目に重要とされています。企業におけるOSの更新の基本的な理由は、PCやOSの定期的なライフサイクルに依存してはいますが、昨今は企業のPCの管理者も利用者も安全な利用に対する意識が高く、華やかな新機能よりも地味なセキュリティに大きな関心が向けられています。

■”安定稼働”から”安全稼働”へ

 先ごろ、マイクロソフトはWindows XP Home Editionのサポート期間を2014年まで延長すると発表しましたが、セキュリティ・パッチの配布などを含むOSのサポートは、PCを安全な環境で利用する上で極めて重要なサービスとなっています。仮にサポートを打ち切った場合、ホームPC利用者が多いHome Editionとはいえ、安全な利用環境の提供を放棄したと利用者から見なされることから、今日のPC利用者がOSに対して最も重視するセキュリティの確保を引き続き保証したマイクロソフトの対応は極めて妥当なものといえるでしょう。またWindowd Vistaではさまざまなセキュリティ機能が提供されていますが、それらの実効性の評価がVistaへの移行にとって重要と考えられます。
 なお、ガートナーが2000年に実施したWindowd 2000の評価に対する調査では、最も評価された点として「OSの安定性」「ハングアップ、フリーズの解消」といったように、安定した稼働が重視されていましたが、今、OSを含むクライアント環境に求められるものは”安定稼働”から”安全稼働”に移行しているものと考えられます。

JAL、ワンワールド正式加盟

JALがいよいよ以前からの報道のとおり、今年の4月から世界的航空連合のワンワールドに正式加盟することになる。一人相撲を取っていた高飛車なJALも、ライバルのANAが超人気のスターアライアンスに加盟して、その利用度が飛躍的に上がったことにやきもきした結果なのだ。

以前からいろいろな航空会社と提携の形はしていたが、それでも「自分は仲間じゃない」と一人でいきがっていたのが悪かった。さらに金持ちしか相手にしていないということと、日本人は絶対使うだろうと勝手な思い込みが、いまの業績の悪さを露呈している。さらに日本エアシステムを吸収したのはいいのだが、旧JALと旧JASの従業員同士がめちゃくちゃ仲が悪いことによるサービス低下というのも露呈した。今回のワンワールド加盟によって、ANAがイメージアップしたようにJALもイメージがあがるといいのだが、これまで同様に高飛車な態度でいると、とんでもないことが起こると思う。

マイルは、ANAと同じように、意外に貯め難い。アメリカン航空に乗ってもキャセイパシフィックに乗っても、貯めるには制限があるのは痛すぎる。もっと他社便を利用している場合でも貯めやすくして貰いたいものだ。いわゆる「陸マイラー」が多いといわれているJALカード保有者にとっては、海外の他社航空会社に対するマイルの貯め易さは気にならない人が多いと思うが、スターアライアンスと比較すると、かなりハードルが高い。今後のJALに期待したい・・・・と思いたい。

以下は、JALの報道発表の様子。

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JALは2007年4月1日、ワンワールドへ正式加盟いたします。


 2007年4月1日より、JALマイレージバンクのお客さまは全てのワンワールド加盟航空会社の便でマイルの積算および特典をご利用いただけるようになります。さらに世界約400ヶ所のワンワールド加盟航空会社ラウンジをはじめとして、会員資格に応じたワンワールド共通の各種サービスをご利用いただけます。またJALはワンワールド加盟航空会社のマイレージプログラム会員のお客さまにワンワールド共通のサービスをご提供してまいります。

 また、ワンワールド加盟航空会社間での全ての乗り継ぎ便において、航空券を持ち歩くことなくご旅行ができる「国際線e-チケット」のご利用が可能となるほか、加盟航空会社と一括してご搭乗手続きが可能となるため、乗り継ぎ地点でのチェックインの手間を省くことができるなど、お客さまは安心でスムーズにご旅行いただけます。

 さらに、ワンワールド加盟航空会社便を乗り継ぐお得な世界一周運賃「ワンワールド・エクスプローラー」等、各種ワンワールド運賃をJALがご提供させていただくことが可能となります。また、JALの加盟によりワンワールド運賃の適用範囲が広がることでも、お客さまの選択の幅も大きく広がり、ますます便利になります。JALはこれらのワンワールド運賃を2007年4月1日から販売予定です。

 尚、JALではワンワールド加盟を記念して「JALワンワールド加盟記念キャンペーン」を展開いたします。2007年2月1日から4月30日の間、クイズにお答えいただき全問正解されたお客さまの中から抽選で、毎月20組40名さま、総計60組120名さまに「日本発ワンワールド加盟航空会社で行くエコノミークラス世界一周航空券」をプレゼントいたします。キャンペーンの詳細につきましては以下のホームページをご覧下さい。http://www.jaloneworld.com

 JALは今後、ワンワールド加盟航空会社と協力し、品質やサービスの一層の向上に努めてまいります。またワンワールドへの加盟により、お客さまへより大きな付加価値・利便性・快適性をご提供してまいります。さらにJALの日本およびアジアにおけるマーケティング力を発揮して、拡大したワンワールドの牽引役としてJALとワンワールドの競争力を高めてまいります。

 JALの新しいワンワールドのサービスについては、ホームページhttp://www.jal.co.jp/oneworld/をご覧下さい。

 ますます広がる、JALとワンワールドのネットワークとサービスにどうぞご期待ください。

*日本航空インターナショナル、日本アジア航空、JALウェイズ、日本トランスオーシャン航空、JALエクスプレスおよびジェイ・エアがワンワールドに加盟します。

*一部サービス・運賃・特典の開始は政府認可を条件とします。

*一部サービス・特典は路線、運航会社、空港施設、ご利用運賃によりご利用いただけない場合があります。


【 ワンワールドについて 】

 2007年4月1日より、日本航空と共に、マレブ・ハンガリー航空、ロイヤルヨルダン航空もワンワールドへ参画、ワンワールドは8年前の発足以来、大きく発展いたします。

 2007年4月よりワンワールド加盟航空会社は、アメリカン航空ブリティッシュ・エアウェイズカンタス航空キャセイパシフィック航空イベリア航空ラン航空フィンランド航空、日本航空、ロイヤルヨルダン航空マレブ・ハンガリー航空の10社となります。また、2007年中に既存メンバー関連会社であるドラゴン航空ランアルゼンチン航空ランエクアドル航空の加盟を予定しております。尚、エアリンガス航空は2007年4月1日にワンワールドから脱会することとなりました。

 2007年度以降アライアンスの規模は以下のように大幅に拡大いたします。

●就航空港:約700空港(約100空港増)
●就航国:約140カ国以上
●一日あたりの便数:約9,000便 (約1000便増)
●年間旅客数:約3億1,500万人(6,500万人増)
●従業員数:約265,000人
●機体数:約2,500機
●総収益:約US850億ドル(30%増)

落語の初歩本

正月に落語を聞きにいったこともあり、すこし落語に対して興味がでてきた。これも年をとったからなのかどうかはわからないが、落語のよさというのをだんだん理解できてきたというのが正しいと思う。それまで落語といえば、テレビの「笑点」かNHKの寄席くらいしか知らなかったし、落語の話というのはあまり知らないというのが本当のところだった。何も無い知識のところへ、正月の落語を聞きに行ったから、落語とは関係なく、「おめでとうー」という騒いでいた昇太の場合は楽しめても、伝統的な落語を聞かせてくれた人の話は、ちっとも面白くなかったという悔しさがあった。そこで奮起して、ちょっと落語について勉強しようかと思い、本屋で落語に関する本を買ったのである。

落語は日本の伝統芸能の1つであるため、出版されている書物は本当にたくさんあってびっくりした。どこから手をつけて良いのかわからなくなるのも、落語という分野の奥深さだろうとおもう。あまりにも多すぎるので、ぱらぱらと立ち読みして、基礎知識として知っておこうかなと思ったのが、「落語の話」「芸能としての落語の歴史」「落語のなかで使われている背景」「落語家の系統」の分野だった。落語家は本当にたくさんいるため、それぞれの落語家によって同じ話でも違う持ち味に聞けるというのは有名な話。これは同じ曲でも指揮者が違うと、違う音楽に聞こえるというのと同じだと思う。だけど、話の基本あらすじを知らなければ、その違いのよさというのは分からないとおもったので、まずは落語の話は知りたかった。さらに、一体、落語というのはどういうところから生まれてきたのかという、芸能としての要素も知っておきたい分野のひとつでもあった。元来、歴史が好きだったので、なにか物事が続いている場合、その建立があるはずだから、それを知りたかったのである。さらに歴史の延長として、落語の話は大抵江戸時代の町の中の風景を克明に表しているから、その歴史背景を知りたかったというのはある。最後に、落語家というのは、「○○亭」というのが多いのだが、一体、だれが誰と系統が同じなのかさっぱりわからないので、それを知ることだった。

以上の観点から見てみると、まずは、三省堂から出版されている「落語ハンドブック」は、落語の基礎を知るためにはバイブルのようなものだと感じた。落語が成立した歴史と、落語を聞くために必要な用語、落語の種別、落語の話を支える庶民の暮らしの様子の解説、そして、有名な落語を集めた要約が紹介されている。最後に、落語家の系統と有名落語家の紹介を載せているので、これさえあれば大体の落語の世界については理解できるものだとおもった。一番面白いとおもったのは、落語家の系統なのだが、そのなかで、誰が誰を師匠としているかというのを、家系図のように載せているところだろう。現在活躍している落語家ならすべての人が紹介されているので、一種の芸能人総辞書みたいな感覚で楽しめる。いまではすっかりバラエティ司会者として有名になってしまった「明石家さんま」も最初は落語家として師匠の下についていたことが証明するように、師匠である承服亭松之助のしたに書かれているので、吃驚ではあるが、本人もテレビで紹介していたことがあるので、それほど驚くことではないだろう。ただ、落語の話の内容だが、これが要約であるため、もう少し内容を長く書いて欲しいとおもったところだ。ただ、要約と、抑えるべきポイントは全部書かれているので、ここに書かれている落語を聞いた場合には、きっと「楽しい」とおもうだろう。もちろん、その落語の話になかで出てくる言葉の解説も載っているので、その時代の歴史文化を知ることができる良い本だと思われる。

そこでもう少し落語の話に特化して、話が長く書いている本は無いかなとおもって探したのが、立川志の輔監修の「古典落語100席」だ。確かに有名どころの落語が100席かかれているのだが、読んでみてかなり消化不良になった。先述の「落語ハンドブック」より確かに話が長いのだが、まとまりかたがまとまっていない。オチになるようなところ、見どころとして押さえておきたい箇所というのか、かなり漠然としているためにそう思ったのだろうと思う。辞書代わりにしたいとおもっても、ジャンル別に分けられているわけでもなく、題名を「あいうえお」順に並べているわけでもない。読んだ後に口直しとして別の落語の本を読んでみたいと思ったくらいである。「落語ハンドブック」の場合、落語の題名はいろいろな題名で書かれている。というのも、落語家や大阪か東京かどちらで話されるかによって、同じ内容でも題名が異なって演じられる場合があるため、解説の意味で、同じ話でも題名をいろいろ紹介されている。ところが後者のこの本は、まったく題名に対しては重きを置いていない。

Amazon のレビューにも書いてあったが、講談社学術文庫から出ている「古典落語」を改めて読みたいと思った。

・ 落語ハンドブック 山本 進 編集 三省堂


・ 古典落語100席―滑稽・人情・艶笑・怪談 立川 志の輔監修, PHP研究所


・ 古典落語 興津 要 講談社学術文庫

2007/01/30

ダーウィンの悪夢


衝撃的ドキュメンタリー映画を最近見た。題名は「ダーウィンの悪夢(Darwin's Nightmare)」である。ダーウィンとは、あの進化論を提唱した学者なので、題名から考えると、生物の進化論の映画かなと思われるが、実質は全然違う。どちらかというと、「ダーウィンでさえ考えも寄らなかったことが、実際の世界では起こっている」というほうが正しいだろう。この映画は、世界中の映画祭を総ナメにし、一時期社会論争にまで発展した問題のドキュメンタリー映画である。ドキュメンタリーなので、おとぎ話や妄想話ではない。実際、現在でも継続して起こっている事実を詳細に録画し、それをまとめている映画である。

内容は、とても衝撃的だ。いま、清水国明らネイチャーアクティビティの連中が「いいじゃないか」と提唱している、全国の湖へのバスの放流を改めて愚かな行為だというのを知ることができるいい映画だ。映画のなかは、別の魚が生態系を壊す程度では済まないことを物語っている。生態系を壊してしまっている程度なら、ドキュメンタリー映画にしなくても、National Geographyで放映すればいいだけのことだが、この映画は住民の経済および世界を巻き込んだ闇の部分にまでメスを入れているところが凄いところなのだ。

舞台はアフリカの水源として有名なビクトリア湖。イギリスの植民地だったこのあたりの地域は、戦後、ビクトリア湖の魚を乱獲してしまった。この湖に住んでいた魚はほとんどが草食だったのだが、魚釣りで生計を立てていた住民のために、イギリスが勝手に関係ない魚「ナイルパーチ」を放流する。この魚は獰猛な肉食魚であったため、あっというまに他の魚を食い荒らしてしまう。しかし、この魚を獲ることで生計が成り立つという図式が生まれてしまった。撮った魚はヨーロッパや日本へ輸出されるという産業がここに生まれる。ちなみに、日本のレストランや給食で提供されている「スズキ」や白身魚のほとんどは、ここのナイルパーチであるのは、ほとんどの日本人は知らない。白身魚の輸出に成功すると、それを目当てに周辺地域から、職を求めてやってくる。単に職を求めるだけなら良いが、かつての満州国の成立とおなじように、安全で金が儲かるという地域に、周辺の住民が大量にやってきて、サービス産業が発達する。特に売春が流行るのが、歴史の常だ。ご多忙に漏れず、ここでも売春産業が大流行。ところがエイズの病魔が住民を襲う。かつての日本のように、女郎の管理が徹底しているわけでもなんでもない人たちが集まっているわけだから、一度広まった病魔は、無知で教養の無い住民達を次々と襲っていく。しかし、産業に従事しているからといって、必ずしも高給を貰っているわけでもない。海外に輸出することがメインになってしまったナイルパーチを住民自体が誰も食べられるわけでもない。住民にとってナイルパーチはそれほど高級の魚になってしまっているのである。魚は豊富に取れるのに、それを食せないという矛盾。安月給の上、食に乏しい地域として、貧困が生まれる。貧困であれば、自力で農業に従事するなんていう気力も起こらない。何に手を出すかというと、結果は、昔の日本の「えた・ひにん」の部落と同様、商品価値がなくなった部位に手をつけるのである。商品価値の無い部位というのは、魚の骨とその周りにある少量の肉なのだ。しかし、ここはアフリカ。先進国のように、冷凍技術が発達しているわけでもなんでもない。さらに、巨大魚であるナイルパーチの骨は巨大なのだが、それを運ぶのも一苦労。その骨の固まりに住民が、難民のように群がって、さらに熱さで腐っている肉の匂いのなか、食べられる部分を拾い始めているシーンは、嘔吐してもおかしくない。よくこういうシーンを撮影したと思う。日本の軟弱なテレビ番組だったら、全部暈しになってつまんなかっただろう。さらに映画はそれだけでは終わらない。ナイルパーチの「商品」をアフリカから世界各地に飛行機で輸送する。商品の消費量の増加に伴い、飛行機の輸送が多くなるのはあたりまえ。しかし、アフリカから貨物の飛行機が飛び立つのは理由がわかるが、じゃ、荷物を運んだ後の飛行機はどうなるのか?実は、これがアフリカへの武器の輸送に使われることになるから驚きだ。これが部族間衝突の内戦へ発展するトリガーになってしまうのである。

たった魚の生態系が変わっただけで終わらないというのがこの映画の醍醐味。実写であり、現実の世界をフィルムに収めているので、社会現象になるのも理由がわかる。貧困国家が生き残るために必要なすべての汚い状態がここで凝縮しているのだ。この現実から考えると、ヒッキーやいじめでぎゃーぎゃー騒いでいたり、メイド喫茶にいって「萌え~」なんて言っているのんきな日本人の生活は、幸せすぎるとしか言いようが無い。明日喰える食べ物が無い北朝鮮の一般住民と似ている境遇を知るためには、その現実と同じ境遇にならないと理解できない。幸せすぎた環境で住んでいるいまの日本人には、「所詮、スクリーンの中の世界だ」としか映らないことだろう。

アフリカがいつまで経っても「アフリカ」である理由がなんとなく分かる映画でもあるような気がした。別のサイトに書いてあったのを拝借させていただくと、

  1. アフリカで戦争と飢餓が広がる
  2. 経済援助の名の下に多くの資金が投入される
  3. その資金で武器が先進国から購入される
  4. その武器輸送のカムフラージュのため(?)に魚が飛行機でアフリカから運ばれる
  5. 食料として欧米、そして日本の食卓にヴィクトリア湖の魚が並ぶ
を永遠に繰り返しているだけなのが、現実のアフリカなのだろう。この負の永久機関を終わらせるためには、自立による経済発展しかないのだが、教育の基礎が全く無いところにいくら経済的援助をがんがんやっても、「他人を殺して自分は生き残る」という考えが消えていないひとたちには、先進国並みの生活になるよう望むのは難しい。世界経済を根本的に考えさせてくれ、のんきにNPOとか、「平和」と言っている連中に、現実を見よと問い掛けるためのいい教材だと思う。

「ダーウィンの悪夢」公式サイト : http://www.darwin-movie.jp/

東京・渋谷シネマライズで公開中
2月9日(金)まで上映  10:15/12:35/14:55/17:15/19:35~21:40

ビクトリア湖の悲劇 : http://www.asahi-net.or.jp/~jf3t-sgwr/inyushu/nairuparthi.htm

ナイルパーチ : http://en.wikipedia.org/wiki/Nile_perch


カノッサの屈辱


あのカノッサの屈辱が戻ってくる。

いまでは定番になってしまったテレビ番組の深夜番組で、「通好み」としてウケていた、あの番組だ。教授役に、俳優の故・仲谷昇が務め、各種の歴史を面白おかしく紹介していた番組である。一般的な歴史ではなく、あるテーマに沿って、その歴史を紹介していくので、歴史が嫌いなひとにとっても面白い番組だったとおもわれる。テーマに取り上げられる題材も、「ディスコの遍歴」やら「コミックの歴史」など、普通ではあまり取り上げられない題材の歴史を分かりやすく取り上げられている。それを実際の戦争や紛争などにひっかけて紹介していくのは、製作者の教養の深さもわかり、かなり楽しい。

ウィキペディアの「カノッサの屈辱」内に、これまでに取り上げられてきた題材の一覧が載っている。

教授役の仲谷氏が亡くなったことにより、再現をどのようにするのかなとおもったところ、当時「助手役」として演じていた俳優の伊武雅刀がかわりに「講義する」ことになるそうだ。それも今回の1晩限り。録画して、きっと永久保存する人も出てくるだろうし、当然、そのうちyoutubeに上げられることも可能性としては大きい。フジテレビの報道発表を見るところによると、これまた現代風の題材として「携帯電話」なんだそうだ。携帯電話の歴史としては、知っている人はかなり多いとおもうので、講義内容は「おさらい」ということになるのだろう。しかし、なんとなく、番組スポンサーとしてNTT DoCoMo だったり、禿TELだったり、あーうーだったりするような気がする。

フジテレビの過去番組紹介 : 「カノッサの屈辱

フジテレビの報道発表
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2007/070125canossa.html

アリタリア航空


イタリアのナショナルフラッグであるアリタリアもとうとう売却という流れに逆らえなくなったようだ。世界中の航空会社が、ここ数年、9.11や石油の高騰や、元来の企業体質の改良不能から、企業としてまともにできなくなっているのは、顕著なことである。アメリカの航空会社やJALのような巨大な航空会社だけでなく、ヨーロッパの航空会社も例外に漏れない。アリタリア航空は、一時期、フランスの国営航空会社であるエールフランスに合併されるうわさがあったり、デルタ航空を主軸とする航空会社連合体の「スカイチーム」に属することになったりなど、航空会社としては安定していくと見られていた。しかし、競争がアメリカより激しいヨーロッパの航空会社であるため、その競争化には勝てなかったようだ。今回、そのアリタリア航空の売却のニュースは、有る意味、とうとうヨーロッパの航空会社にも、M&Aの波がやってきたことの現われだろう。

アリタリア航空というと、イメージカラーの緑がとても似合う航空会社だった。国内線しか実は乗ったことが無いのだが、席は全部緑色、愛想がいい対応が印象的な航空会社だなーという思いがあった。厭味が無い航空会社としては是非他の航空会社とは合併して欲しくないと思っていたところである。日本へはミラノとローマに直行便があり、特に新婚旅行でイタリアに行く人たちには大変好評の航空会社だといわれている。イタリア料理がビジネスクラスでは提供されるが、日本人にはおなじみの料理や、イタリアンテイストを機内から味わえるというのが好評の理由だろう。国内線においても、ライバルの鉄道よりは、時間的に正確だし、速いし、重宝できる交通手段だと思われる。全イタリアの主要都市へ路線網があるため、ローマで乗り換えてイタリアの各都市に移動するためには、本当に便利だ。イタリアにも新幹線の「Eurostar」というのがある。ちなみに、こちらも同じく緑がイメージカラーだ。

ヨーロッパで唯一元気なのはルフトハンザ航空なのだが、残念ながらルフトハンザ航空とは仲間ではないため、ルフトハンザ航空の力を得られなかったことだろう。今後、どこのヨーロッパの航空会社がどこと合併になるのか注目する動きのトリガーになったと思われる。

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伊アリタリア買収、ファンドなど11グループ名乗り

 【ミラノ=野沢正憲】イタリア政府が進めている航空大手アリタリアの売却に29日、国内外の投資ファンドなど11グループが名乗りを上げた。政府は今年前半に売却先を決める計画だが、アリタリアは労使紛争などで赤字が膨らんでおり、再建には時間がかかりそうだ。
 名乗りを上げたのは米テキサス・パシフィック・グループ、英テラ・ファーマなど国外の有力ファンド。伊大手銀ウニクレディトの子会社や、オリベッティを再生したことで知られる伊実業家、カルロ・デベネデッティ氏のファンドも名を連ねた。アリタリアの提携先で有力候補とされてきたエールフランス・KLMの名前はなかった。
 アリタリアは28日、2006年12月期の最終損失が当初見通しを大きく上回る3億8000万ユーロ(約597億円)に達する見通しであると発表。燃料費や人件費が収益を圧迫しており、人員削減などのリストラが労組の反対で進まないことが経営不振の要因となっている。

(日本経済新聞 2007/01/30, 09:54)