2010/09/08

龍山寺(台北)

台北に来たら一番台湾らしいところと思うと、絶対想像するのが龍山寺だろう。道教の巣窟みたいな感じで、道教の神様であるなら、ここに来ればほとんど有名どころは全部揃っているということもあるし、なんと言っても、いつ参拝に訪れても人がたくさんいるからだし、また周りにも参拝客を狙ったお店がたくさんあるから楽しいのである。台北市内に町ができる前には、川沿いに形成された龍山寺がある萬華のあたりが最初の台湾北部の町と形成されたのだろうが、そのために、台北みたいに整然と町並みができているわけじゃなく、それこそおもちゃ箱みたいな町がそのまま残っているところという意味では楽しいところだと思う。何度かいくと飽きるかどうかは別問題。余った時間を使って行天宮からタクシーに乗って、一気に龍山寺まで下ってみた。距離にすると意外に結構あることがわかり、それで吃驚したのが、龍山寺の目の前までタクシーで乗りつけたというのは実は初めてだったので、通常ならMRTの駅から占いババァたちが集まっている場所を横目に見ながら寺に向かうという余韻が全く無かったので、不思議な気分だった。この日、参拝したときも日曜日の朝だというのに、もう境内は人がたくさん居て、線香の煙が濛々としていて息苦しさもあった。それだけ神様に願掛けしたいと思っている人たちが多かったのだろうと思う。龍山寺に鎮座している神様の像は、実は他の道教の寺にある像とはちょっと違う気がする。他の寺の場合は、漫画みたいな顔で、どうみてもありがたみを感じないのだが、龍山寺の像は凛々しい顔をしており、いかにも念が叶いそうな気がする。こういう像が並んでいるから、参拝客もたくさん来るんだろうなーと思う。

行天宮(台北)

台北最終日はホテルから近いところにある行天宮から行くことにした。ホテルから歩いて5分以内にある観光名所であるため、こんなのは本当に時間があるときに行けばいいかなと思っていたのである。意外に台湾出発までの時間があったので、忠烈祠でも行こうと思ったのだが、それは前回も行ったことがあったようなので、今回は止めにした。それにしても、デパートに行こうかなとおもったが、朝の9時ごろには日本もそうだがデパートなんかやっているわけがない。一般の店さえも開店していないのだ。こういうときには、朝から参拝を許可している神社・仏閣に行くしかない。行天宮は朝4時から開いているので、早起きのひとにとっては、ぜひ暇なら行ってみるべきところだろうとは思う。

実際には両親も行天宮に行くのは二度目だったらしいが、初回に行ったときの印象がとても深かったようなので、再リクエストが唯一出た観光地である。前にも来たことがあるのだが、この寺だけはどうしても本堂がある場所のそばへ寄って、写真を撮ろうとするのをためらってしまう。なぜなら、参拝しに来ている人たちが、必死になって願掛けをしているため、全然信仰がない自分達がご本尊の傍で、カメラ片手に指差しをしながら、あーだこーだと言うと、その参拝客たちがあまりにも自分達の後ろにたくさんいるため、そんな人たちから「奴らは一体何をしているんだ?邪魔だからどいてくれないかな」と思われるのがオチだからである。台湾人の多くは自分の宗教を関係なく、こういう願掛けのためには必要な寺にいくということがある。これは日本でもキリスト教徒でも神社へ行ってしまうというのと似ているのかもしれない。
あと、しばらく参拝客の様子を見ていて、変なことに気づいた。

参拝客はお供え物として、水、お菓子、果物、野菜等々のものを献花台のところに置いて、必死になってお祈りをしている。たくさんのひとたちが同じようなものを持ってきて、参拝しているのだが、一体これらの献花台に置かれているものは、最終的にはどうなるのだろうか?と思っていたところ、ある人が持ってきたお供え物を、別の人が勝手に持って帰ってもいいというルールになっているらしく、うまいことに、そんなに献花台のところにたくさんのお供え物が揃っていて邪魔臭いということにはならないのだということに気づいた。一度神に捧げたものは、ありがたいものと同格だからということなのだろうか、みんな悪びれることなく、好きなものを持って帰る事にしている。生ものの掃除をしなくても良いといういう意味では、とても都合の良い整理整頓方法だとは思われる。

こういう寺が傍にあるということは、お寺に来れば何かしらの食べ物は転がっているということもあるので、貧しい人にとってはとても便利な救済所にも適用できるということだ。ただ、そんな人は残念ながらこの日にこの寺で見かけることは無かった。おそらくほとんど泥棒同然のような人は、見回りのひとやお寺の檀家の人たちに怒られるのだろうと思う。

行天宮は商人の神様である関羽が祀っているところでもあるので、祈りをしているひとたちの多くは金の亡者のような思いを持っている人たちが多いことなのだろう。彼らの脳みその中で考えていることの多くは金のことばかりだろうからだ。半分冗談で、おみくじの番号を適当に引いて、それについて寺のおばさんに聞いてみたところ、「なにについて知りたいのか?」という問いに、うちの父が「今回の旅の様子について」と聞いたところ、「そんな詰まんないことを聞かないで、もっと金儲けができるかとか、宝くじが当たるかとか、そういうのをお祈りしたんじゃないの?」と逆に怒られてしまった。

鼎泰豊(台北)

両親と台湾には今回で3度目なのだが、実はこれまで、台湾で一番有名なレストランである鼎泰豊に行ったことがないことに気づいた。昔は台北でも1軒しかなかったのだが、いまでは台北市内だけでも数店舗展開しているので、そんなに長時間を待たなくても良いようになっているから、今回は、これぞ「小籠包」というものを食べさせてやろうと思って行くことにした。とは言っても、本店がある信義路二段の店に行くには、とても不便であるため、行きやすい信義店か忠孝東路にあるところに行こうと思った。ついでにデパートで買い物ができたら良いかなと思ったので、忠孝支店である店に行くことにした。

場所は、前によく利用した神旺飯店をさらに市政府方向に行った交差点に行けば、赤い看板が見えるので、すぐわかる。ただ、やっぱり鼎泰豊は鼎泰豊だった。

時間的に一番混むときだったかもしれないのだが、鼎泰豊の前にはかなりの長蛇の列。しかし、いつものごとく、入り口前に屯しているのはもちろん順番を待っている人たちなのだが、そんな人たちの真似をして待っていてもダメで、ここは入り口で仕切っているお姉さんのところに、人数を言うことが先決だ。そして順番待ちの番号をもらい、入り口のところに掲示されている銀行の窓口待ち番号みたいなのを見ながら、自分の番をひたすら待つ。この日は、30分くらい待った気がする。座るところも無かったので、ずっと立ちっぱなしの30分というのは結構疲れることだとおもった。待ち時間の間にメニュを見て、何を食べたいか選ぶということができるだけ、時間を紛らせることができるというもの。写真つきのメニュになっているので、どういうものかというのをメニュ名でわからなくても判断できるというのは嬉しいことだろう。うちの親も、文字はわかんなくても絵をみて「これ、おいしそう」というのを選んでいた。先に注文するべきメニュを選んでおけば、店側としても準備の都合があるし、早くお客へ料理を提供できるというものである。

さて、店内に入ってみた。想像通りに店の中は混んでいる。ここで混んでいないときはまず無いし、ハズレの料理は絶対無いので安心だ。しかし、美味いから許すが、おそらく他の店に比べると小籠包の値段はちょっと高いかもしれない。それでも人気があるというのは、料理が美味いからなのだ。通された席は、厨房の様子が丸見えの場所だった。厨房の中は、小籠包を作っている料理人がめちゃくちゃたくさんいて、一生懸命包んでいる作業を見ることができる。これだけの客がひっきりなしにやってきて、みんながみんな小籠包を頼んでいるのだから、そりゃあ、作っても作っても間に合わないんだろうなと思う。さらに、作っただけでは料理にならず、しばらく蒸さないといけない時間が必要ということもあるから、客の入りが収まるまで、この単調作業は結構大変だろうと思う。
今回頼んだ料理は下記の通り

・小籠包(10個):TWD190
・鶏肉小籠包(10個) : TWD200
・紹興酔鶏 : TWD280
・A菜:TWD170

小籠包はノーマルタイプも鶏肉タイプもどちらも文句のつきようが無い。熱い汁を啜りながら美味い小籠包をちょっと薬味と一緒に食べるのは本当に美味い。これはやっぱり鼎泰豊にきて、待って甲斐があるというものだ。紹興酒を使って鶏自体に味をしみこませた鶏肉は、見た目はシンガポールあたりでみかけるチキンライスに提供されるぶつ切りのチキンのように思えるが、これも味付けが全然違うのでチキンライスのような鶏の味を期待していると、舌が「ちょっと味が違うな?」という反応をしてしまう。だけど、結構これが美味しい。しかし、小籠包で鶏肉を食べていたので、ここでまた鶏肉を頼むのではなく牛肉や羊でも頼んでみればよかったかなと後で後悔した。A菜は単純な野菜炒めなのだが、これがニンニクと一緒に絡んでいるので、素朴ながらとても美味い。A菜自体はそんなに美味くないとはおもうが、なぜニンニクと一緒になると、こんなに美味いものになるんだろう。不思議だ。

鼎泰豊 (Ding Dai Fong) 忠孝支店
URL : http://www.dintaifung.com.tw/jp/index.asp
住所:台北市忠孝東路4段218号
電話:(02)2721-7890
営業時間:平日10:30-14:00 16:00-22:00 
     休日10:00-22:00

台北101(台北)

買い物として台北101に来ることはあっても、展望台のところに行くのは実は初めてだったかもしれない。高いところがあると、昇ってしまいたくなるのはなぜだろうか?総統府の後に行くことにしたのだが、なにを血迷ったのか、総統府から近くのMRT駅から電車に乗っていくということを考えたから馬鹿だなとおもった。それも台北車站から乗ろうとしたのが馬鹿だ。なぜ西門町から行かなかったんだろう?おかげで、すごい歩いた。おまけに市政府駅から台北101までもすごい距離があり歩いたので、台北101に到着したときにはへとへとになった。総統府からタクシーに乗ってさっさと台北101まで行けば良かったと後悔した。

台北101の展望台は5階にある展望チケット売り場まで、まずは行かねばならない。入り口を入って右側にあるエレベータで一気に上っても良し。またはエスカレータで順番に5階まで上るのもよしだ。でも、通常は5階までしかいけないので、そこからチケットオフィスまで向かおう。
チケットを購入したら、今度は展望エレベータ乗り場のほうに向かうのだが、ここでは長蛇の列を覚悟しなければならない。特に週末になると、並んでいる人がめちゃくちゃ多いので、辛いだろう。そのエレベータ乗り場の待ちの際、なぜか列の途中で写真を撮られる。それはバーチャル写真なのだが、台北101を背景にした写真を売るためのもので、よくディズニーランドで無理やり写真を売ろうとしているのと似ている。こんなのは写真に写っても、買う必要はない。待ち行列を飽きさせないための処置なんだろうなとおもうが、いい迷惑だ。そして、合成写真をサンプルとして、待っているところの横の壁のところにスライド式で表示するのだが、これって、不倫カップルが来ていたとき、他の人に見られてしまうので隠しようがないなと思う。

そして、エレベータに乗る前には、荷物検査と金属探知のゲートがあるので、そこを通らないといけない。
エレベータは展望台がある89階の388mまで一気に上る。これが本当に早い。耳がツーンとなるのが、そのツーンを治そうとする前に到着してしまうのである。これは早い。ただ、アジアナンバーワンの展望台は今ではその地位を奪われてしまった。しかし、まだまだ展望台からの景色は素晴らしいと思う。

台北駅方向を見ると、台北駅はもちろんのこと、目の前の新光三越のビルも見えるし、その先には淡水河も見ることができる。北側のほうを見ると、松山空港の滑走路も見えるし、松山駅のほうもみることができる。円山飯店までは見えないのが残念だ。91階はガラス張りが外れて、実際に生の空気に触れられる場所である。そこまでは階段で昇ることで行くことが可能だ。もちろん、高い金網が張ってあるために、そこを昇って外に出ちゃうことは無い。ただ、帽子を被っている人は危険だ。風が強いので飛ばされる可能性がある。女性の場合は、日傘を差したがる人が居るのだが、これは傘で飛ばされてしまう可能性があるので、絶対にダメだし、91階の展望台にいる係員に絶対注意される。89階の展望台とさほど景色は変わらないが、外の風を感じることができるという点においては、これも行くべき場所だろうと思う。なにしろ東京タワーよりも高いところに昇っているのだから。しかし景色はとてもいいので一度は昇ってみるのも良いかもしれない。

台湾総統府内覧会(台北)

今回の台湾旅行において台北を台南の後にしたのは、帰りがギリギリまで台北のほうが遊べるからという理由もあるのだが、本当のところ、台湾総統府の見学にあわせたスケジュールにしたかったためである。通常、台湾総統府は平日の午前中だけ無料で見学を開放しているのだが、それは1階の展示物くらいしか見ることができず、それも案内員の同行と説明が必須になっており、だから、普通で行くと見学場所が制限があり、荷物も全部入り口で預けなければならないし、カメラ撮影も禁止だ。ところが、特別内覧会というのを年に数回だけ行っており、その時だけは、特別の場所まで見ることができるし、写真撮影もできるのだ。それが自分達が台湾滞在する期間にちょうど合致し、9月4日(土)という普段では絶対行くことができない土日だというから、この機会を逃さないわけが無い。

普通の開放時間と同じように入り口が決まっている。通常なら、その入り口のところで、パスポート提示とパスポートを預けられるし、持っている手荷物も全部保管させられるのだが、それはここでは今回は全部なし。ただし、かばんの中身をチェックされたり、金属チェックのゲートを潜ることはいつもと変わらない。何かを持ち込んではいけないということはない。もちろん、水でさえも持ち込んでいいのである。

チェックが終わると、あとは所々に立っている係員兼兵士の指示に従って、「次はこっちに行ってください~」という指差しのとおりの道を進んでいく。そうすると、あの大通りに面したところから見える一番の正面玄関のところに通されるのである。いつも外からしか見ることができなかったところに足を踏み込むことができるのである。気分は総統府の職員である。普段だとなぜか総統府に入ろうとする人間はすべて「怪しい人」という疑いの目で見るくせに、この日は不思議なことに接する職員は、まるで銀行員のように「いらっしゃいませ~」とかなり丁寧な対応だった。この対応もなんだか変である。別にサービスを提供してもらいたいと思っているわけじゃないんだが、挨拶されるのは悪くない。だけど、普通のときみたいにまた監視員のように付きまとわるんじゃないの?という思いはあったが、実際には無かった。

さて、実際に足を総統府の中に踏み入れてみた。
入り口の次にある前室を通ったあとの、最初の一歩からもう吃驚。
白の大理石を基調としたロビーが目の前に広がった。天井がとても高く、こんな西洋風の建物になっているとはとても考えられなかったが、基本的には全部日本統治時代に作られたもので、現在は多少修復しているだけである。当時からこんなにモダンな建物だったということは、どれだけ日本政府は台湾に力を入れていたのかというのが良くわかる。そして、正面には総統府の建物の中の主要な部屋にいくために上がる階段がある。もちろん、その階段の中央部分には赤絨毯が敷かれているのは言うまでも無い。そして、階段のトップのところには、三民主義の神様である孫文の胸像がある。階段の下からでも孫文の顔が見られるので、三民主義万歳の台湾のひとにとっては、常に孫文に見られているのではという一種の守り神のように見えることだろう。しかし、そんな威厳に満ちた胸像よりも、現政権の総統と副総統両名の実物大の等身パネルが階段下に、赤絨毯を挟むように両側に立っているのだが、これがまた嫌がらせのように絵にならない。取り除いて欲しい。しかし、現政権国民党の宣伝にしたいのか、等身大パネルを置いて、訪問客に対して一緒に写真を取れるような気配りをしているところも厭らしい。しかし、階段のところで記念写真を撮っている人の多いこと、多いこと。確かに一番絵になる場所だから、ここで何枚も写真を撮ろうとする人はいる。特におばさんたしのグループは大変だ。数人のグループでやって来た場合、誰かがカメラのシャッターを切らないといけないので、仲間の誰かが抜けることになる。となると、誰かが居ない場合というパターンを全パターンやるまでそこから動かないということが起こるのだ。もうこうなると、おばさんたちは周りの迷惑考えず長居する。困ったものだ。さて、階段をどんどん上っていくと、ロビーのところを上から見下すような場所に出くわす。こういうところは、まるで自分がいま台湾にいるのを忘れてしまうような光景だ。どんどん進んでいくと、いくつかの普通では観ることができない部屋を観ることができた。

まず最初に目の前に見えたのは「台湾綠廳 (Taiwan Heritage Room)」。主要の用途としては、総統に会うための控え室のようなものとして使われているところだ。とはいっても、この部屋、結構中は広い。控え室と言われているから数人が座れるだけのところかとおもったらそうではない。おそらく総統と会うということは、台湾内のひともそうだろうし、中には国外から来る賓客も居るだろう。そういう人たちが会合をするための前に通される場所なので、メインの賓客のほかにお付きの人もいるわけだから、きっと相当の人数も来ることになる。それらの人たちも収容できるくらいの椅子は用意されているというわけである。それにしても正面の達筆な書が書かれているのが観られるが、これは一体だれが書いたものなのだろうか?そして、中央の絨毯は、緑色を主要とした雉が描かれているのが、派手ではなく、また質素でもない感じが良く出ている。続いて「台湾晴廳 (The President's Hall)」と呼ばれるところであるが、ここは、各国の元首クラスや国内外の賓客を迎えるための部屋で、さきほどの部屋よりもランクは上である。こちらのほうがインテリアと椅子が重厚な感じがすることと、部屋の正面には孫文の肖像画が掛っているという点においては、先ほどの部屋よりもランクが上であることが良くわかる。部屋と部屋を結んでいる廊下を歩いていると、台湾の芸術家の各種作品がショーケースに飾っている箇所を何箇所か通ることになる。しかし、これらのショーケースの作品は、故宮博物院に展示されている作品に比べると、かなり見劣りするものであり、なぜこんなものが総統府に堂々と飾られているのかの意図が全くわからない。しかし、そんなつまらない廊下を通っているときに、ふと中庭のほうを見ると、なんだかここが本当に台湾なのかというのを忘れてしまうような感じだ。というのも、建物は四角形になっており、その真ん中は中庭になっている。建物の角に当たる部分だけ見ると、中欧によるある城の建て方と非常に似ており、その城の中にいるような気分になるからだ。戦前の日本人建築家の欧州に対する想いと洗練された美的感覚がいまでも見劣りしないところに驚嘆する。そして大ホール(大禮堂 The Auditorium)が見えてきた。ここは、重要な式典や国賓を迎えたときの宴会を行ったり、総統が主催する音楽会や茶会が開かれる場所であり、総統府に勤めている人たちが集合する場所でもあったりする。ここは、他の部屋と違って、誰でも見学者は入室することができる。偉いひととか、勲章をもらえるひととか、そういう人しか入れないようなところに、こういう見学日では入ることができるのだから、すごいと思う。中央にはすこし壇になっているところがあり、そこには孫文の肖像画と中華民国国旗が大きく掲げられている。そして、なぜか、やっぱり馬総統が、見学者と握手ができるような等身大パネルが用意されて立っているのが邪魔臭い。しかし、台湾人見学者にとってはとても素晴らしい演出に見えるのだろう。それにしても、このホールはとても広い。広いし、天井が高いし、いかにも大ホールという感じだ。こういうところで催される会合やイベントというのは一体何なのだろう?と思う。続いて覗いてみたのが、「台湾虹廳(The Rainbow Room)」であり、ここでは総統主催による大宴会を行ったり、報道陣向けの取材を受ける場所でもある。総統が総統府でインタビューに答えるときには、この部屋から行われることになる。見学会の時には円形に椅子が並べられているのだが、実際に使われるときには、机と椅子が整然と並んでいるような状態なのだと想像できる。そのあとは、1階のほうに下ろされて、普通の見学コースである各種展示物が置かれているところを自由に見ることができる。もちろん、写真も好き勝手に撮っていい。やっぱり観て欲しいのは日清戦争のあとの戦争締結調印の文書が残っていることだろう。清は対面的に大清帝国であったため、それに勝利した日本は日本帝国ではなく、大日本帝国と格好を合わせなければ面目が保てられないという理由で国家名を変えてまで調印したと言われている証拠書類である。そして、中国語の講和条約の文章は、必ず清のほうから書かれたというから驚きだ。負けたほうは後から記載するものかと思っていたのに驚きである。いずれにしろ、普通の時にはこういう展示物のところを見ることができるのだが、特別内覧会のときは、案内員の説明無しにじっくりと自分のペースで観ることができるので嬉しい。日本語の説明員による総統府の説明もとくにはありがたいとは思うのだが、説明員の興味と趣味と思いの関係からか、途中本人にとってどうでもいいところとか、苦々しいところと思うようなところは、全部すっ飛ばしてしまうから困るのだ。だから、素直な目で台湾の歴史を見ることができるこういう内覧会のときが一番嬉しい。ぜひ、総統府のスケジュールを確認したうえで、内覧会を見ることができる日があれば、それにあわせて見るべきである。

民國99年度參觀時間表(假日參觀時間)
http://www.president.gov.tw/Default.aspx?tabid=173

健康歩道(台北)

父親がどこのテレビで観たのか知らないが「台北にある健康歩道をぜひ見てみたい」というから、必死に探した。以前来たときにも探したことがあるのだが、そのときには一体どこに健康歩道があるのか全然わからず帰国したので、今度は事前に調べていくことにした。そうすると中正記念堂のところと228公園のところと2箇所あることがわかったので、なにかのときについでに行くことにしようと思っていた。

まず最初に中正記念堂のほうに行ってみることにしたのだが、どこにも案内板にも健康歩道はどこにあるのかということが書いていない。広い敷地内であるために、だいたいの見当位置を考えておかないと、単に敷地内を疲れに行っているだけになってしまうからだ。思ったとおりに、ピンポイントの位置を事前に把握できていなかったために、無駄骨になってしまった。

228公園へ向かうために、中正記念堂から1つだけMRTに乗って移動した。228公園のほうは公園内の設備について全部案内板に書いてあったので、どこになにかあるのか一目瞭然である。最初からここに来ればよかったと、後から思うのだが、健康歩道は、台湾総統府が見える通り沿いの入り口から入ってすぐの場所にある。確かに、MRTの出口からでもいけるのだが、公園内の道は結構複雑怪奇な道になっているので、わかりやすい方法としては、大きな通り沿いを歩くのが一番良いだろう。もちろん、公園内の道を行ったほうが近道であることは間違いない。228公園の健康歩道は、入り口からすぐのところにありわかりやすい場所にあった。ただ、到着したときにはもうすでに真っ暗になっており、健康歩道自体がどの程度長さのものなのかというのは良くわからない。ただ、大き目の石が道に埋められており、その石の凸の部分がちょうど足の裏にあたり、弱っているところや悪いところの部分に該当する足の裏のところに当たると、激痛が走るくらいの痛さを感じることができる。だから、健康そのものか、もしくはやせ我慢かをしているだけなのかは、ここを裸足で平気で歩けるかどうかが指針になるだろう。それにしても、この228公園、噂では聞いていたし、テレビドラマ「孼子」の舞台になったところでもあるのだが、相手を物色しようとしているゲイが暗闇にたくさん潜んでいるのは見逃さなかった。こういうところで相手を物色しているのは、年配の人ばかりなのかと思っていたのだが、実際にはそうでもなく、結構20代の人もいることはいた。一番わかりやすいのは、公園内のトイレの中とその傍だ。意味不明にうろうろしている人が結構居る。ただ、たぶん以前よりはその数は大分少なくなったのではないかと思われる。日本でも同じだろう。公園で探すよりネットで探したほうがいいというのと同じだ。

故宮博物院(台北)

台北では必ず故宮博物院に行く。毎回展示物が変わっているからである。両親と行ったときは、まだ今の故宮のように整然としていたわけではなく、置けるスペースがあるんだったら、いっぱい置いちゃえというスタンスだったときである。何度か個人的に台北に行き、故宮に行くたびに「なんだか綺麗になったみたいだった」と報告すると、「おぉ、そうかい。その変わった故宮にまた行きたいねー」というようなことを何度か聞いた。確かに故宮は何度行っても楽しいとおもうし、なかなか日本では故宮の展示会を行わないという意味では、こちらから見に行かないと接することができないというところなのだろうと思う。

久しぶりの故宮はホテルからタクシーで移動した。バス→MRT→バスというのを使った場合より、3人分を合わせた金額はタクシーより高くなる。それで歩く必要が無く、待つ必要が無いタクシーで移動をすることにした。これは便利だ。さて、最近の故宮に行ってみて驚いたことは、中国人の観光客が増えたこと。あまりにも増えすぎているといったほうがいいかもしれない。そのためなのか、中国人観光客が来る前までは、入り口のところに存在しなかった、荷物検査のX線と、飛行機の搭乗前に行われる武器所有有無についてのゲートが設置されていたことには吃驚した。おそらく、なんでも自分のものとしてもって行こうとする中国人に対する警戒なのだろうと思うし、さらにいうと、展示会場の内部には、死角が無いように監視カメラがめちゃくちゃたくさん設置されている。部屋および廊下という場所には必ずあり、1部屋に1個という割合ではなく、複雑な形をしている部屋が多いこともあり、数十はついていると思われる。もちろん、いくつかはダミーのためにつけているのもあるのだろう。さらに言うと、館内を日本の美術館なみに警備員が巡回しているところも驚いた。これも、大陸からの観光客を警戒しているのだと思う。

それと、館内はちょっと前から撮影禁止になってしまった。前は、どんなにカメラを持ち込んでも全然いいよーというような状態だったのに、これを止められたのは結構痛いかもしれない。その代わりに、お土産コーナーで書籍を買えということなのだろう。文化的価値についてあまり理解せず、中華文明の遺産を持っているほうが偉いから、大陸のほうが持っていないとおかしいとおもっている中国人も結構多い。そういう「持っていることが偉く、持っているモノの本質についてはどうでもいい」とおもっている中国人が多いのも結構話をしていると多い。金儲けにならないようなものには本当に関心が無い人たちである。だから、お土産コーナーのところに行くと、驚くほど、展示会場のような混雑さはない。たぶん、ツアコンの人がここでお土産を買ってもマージンが入らないから連れて行かないだけなのかもしれない。

今回の故宮では通常展示のほか、書簡に関する展示が多かったと思う。文字が好きな人たちにとっては、今回の展示は楽しかったのではないだろうか?もちろん、至高の作品という意味では、石でできたお馴染みの展示物は当然設置されていた。個人的には、毎回思うのだが、キリスト教国だとキリスト教に関する絵画については最近よくわかるようになったのだが、中華文化における絵画は、おもに風景画が多いということはよしとしても、その題材が中国のどこでなんの価値があるものかというのがちっとも観ていてわからない。故宮は、詳しく説明を展示物に関して書かないので、予備知識が無いと本当に困るところだ。見てすぐわかる石の作品のようなものは、予備知識無くても見れば作品のすごさは理解可能である。そういう意味では、中華文化の作品は、わかりやすいものとわかりにくいものが混在している不思議な文化だと思う。

たくさんの展示物があるので、途中で休憩は必要だ。ただし、館内には事前に飲み物、食べ物を持ち込むことは禁止である。これは前からも同じことなので、本当にのどが渇いたり、休憩をするのであれば、4階にある「三希堂」で休憩だ。食べたい人は食べれば良いし、お茶を飲みたい人は飲めばいい。お茶だけなら、ひとり600円程度くらいだろうけど、ちゃんとした台湾茶で各種あるので好きなものを選んでのんびりしたいところだ。それにしても、毎回故宮に来るときには、脳みそ解けるくらいの晴天なのだろうか?まるで、台湾の国旗である「青天白日旗」と同じような青い空がこのときにも広がっていた。台湾の中華民国国旗は個人的には大好きである。そういえば、昔お土産でもらったことがあったが、いまでも大事に家の中にしまってある。そういえば、メイン会場ではなく、第二展示館のほうでは、チベット展が開催されていた。このチベット展は、小規模でたいしたことがないだろうと思っていたのだが、ところがどっこい、めちゃくちゃ展示物があり、これでこの値段で見られるのか?というのが驚きだった。初日に見に行ったのでは疲れるだけなので、別の日に故宮に行って、チベット展だけを見るために出かけた。

チベット展は、台湾でも大宣伝されていたのかもしれないのだが、それはもう日本にモナリザがやってきたみたいに、会場は超満員で、息苦しくなるかと思われるものだった。曼荼羅からインスピレーションされたタペストリーは当然あるし、ヒンズー教に近いような各種神様の銅像・金蔵・木像がたくさん展示されていた。チベットの神様はおそらく日本の仏教よりもヒンズー教の神様に近いのは知っていたが、どれがなんの神様なのか全然わからない。それに日本の仏教の神様とだいたいが1対1でリンクすることができるのは知っていたのだが、その予備知識があまりないので、これは日本だと毘沙門天の意味の神様だなーというのをはっきりいって、理解することができなかったのは残念である。やっぱりこういう展示物をみるときには、事前に予備知識をもって見に行かないと本当にいけないというのはよくわかった。

ただ、今回展示されていたチベット展の数は結構多かったので、それを見ているだけでかなり時間が経過した。また台湾人のチベット展に関する関心の高さについては驚いた。爺さんばあさんくらいしか見に来ないものかと思っていたのだが、これが学生や小さい子もかなりたくさん来ていて、理解がどこまでできているのかというのを今度調査してみたいところだ。